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地球とカラダ [身体の使い方]

 先日、JAXA(宇宙航空研究開発機構 )が子供向けに開いた公開授業「宇宙学校」に息子をつれていってきました。


 最先端で宇宙開発を行っている研究者の先生方がわかりやすく宇宙についてのお話をあれこれしてくださいました。子供も喜んだのですが、あのハヤブサのプロジェクトについてのお話など、大人にもとても興味深いお話を聞けて私も楽しかったです。


 その中で、整体的に面白かったのが、宇宙飛行士の腰痛のお話です。宇宙空間で飛行士たちが生存していくためには様々な問題をクリアしなければならないことは容易に想像がつきますが、その中の一つに腰痛があるのだそうです。重力が無い宇宙空間では、筋力の低下が必然的に発生するそうですが、腰痛にならないための筋力づくりがなかなか難くて、現在課題のひとつになっているのだそうです。

 このお話は、実は世間でまことしやかに語られている腰痛についての俗説が、全く間違っていることを証明しています。


 ひとつには、人間は2本足で立ち上がってしまったため、重力と戦って腰痛にならないよう体を支えなければならない悲劇的な存在だという俗説。

 実際は重力が無ければ腰痛が起こりにくくなるのではなく、重力が存在することによって人間は腰痛になりにくいというのが真実だったということです。地球という母なる大地に育まれて存在している我々人間は、むしろこの地球が持っている環境にベストフィットするように、絶妙にデザインされた体を授かっているのではないかと私は思っています。

 もうひとつは、腰痛にならないようにするためには、がむしゃらに腹筋や背筋を鍛えなければならないという説です。

 整体院には腰痛予防のために、普段からジムで鍛えて腹筋や背筋がぼこぼこと盛り上がったようなお身体の方がよく腰痛が治らないと来院されます。

 JAXAの方が言っておられたのは、宇宙空間で衰えて腰痛の原因になっているらしい筋肉群は、いわゆるパワートレーニングでは作りにくい筋肉群~平滑筋群だということなのです。これは実は地上の腰痛でも同様なんです。

 さて、この俗説は、あろうことか書店で普通に売られている腰痛について書かれた書物に書いてあったりします。まるで、人間を悲劇に立ち向かうプロメテウスのようなとらえた、心が暗くなるような俗説だと思いませんか?


 私の整体院でも普段から、地球と調和するように作られている私たちのカラダの使い方や、そのカラダの使い方するための筋肉をしっかりさせる方法についてお話をさせていただいていますが、これらの俗説とかなり異なっている私のお話をなかなか信用してもらえないことがあります。


 東洋医学とは、与えられた自然環境を悪いものと決めつけたり、自然とむやみに戦ったりするのではなく、自然と調和し、自然とともに生きる健康法です。

 はからずも宇宙時代に生きる私たちは、科学的真実に近づけば近づくほど、東洋医学の正しさを再認識するようになっていくのかもしれません。




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いい姿勢~意識と無意識 [身体の使い方]

 昨年の5月に書いた記事「橈骨と尺骨」についてあやさんという方からご質問をいただきました。ありがとうございます。


 コメント欄にお返事を書いていたら思いのほか長文になってしまったので、本日最新の記事としてUPすることにしました。

 まずはあやさんのご質問からご紹介します。

「初めまして
経絡の話から興味深い内容でした。肘周りの靱帯の緩みが肩こりに繋がるとの事で、検索からこちらに辿り着きました。よく「手は小指」と言われる理由は、こういった骨組みの仕組みだからなんですね。詳しく教えて頂いて嬉しいです。では毎日の親指の酷使を防ぐとしたら、小指を添える・肘から先を回外すれば疲労は取れるのでしょうか?暁骨と尺骨の間が開いてしまっている場合はどんな使い方が適切ですか?宜しかったら教えて下さいm(_ _)m 」



 まず、どちらかで「肘周りの靱帯の緩みが肩こりに繋がる」という情報をお聞きになったようですが、その情報については、私としてはなんとも言えません。結果としてそういう相関関係になる場合はあるかもしれませんが、原因と結果という関係性では無いと思います。



 では腕を上手に使う方法を、スポーツを例にとってお話してみましょう。

 棒を使うスポーツ~剣道、ゴルフ、野球などに共通しているのは、力を抜いて行うスウィングと、力を入れるインパクトの瞬間という2種類の異なった動作を組み合わせなければならないという点です。(実は究極的にはその他のスポーツでも同じことが言えるのですが・・・)

 うまく力を抜かなければ、身体全体がしなやかに連動したスウィングを行うことはできません。ためしに筋肉を硬くしたままスウィングをしてみればよくわかります。

 一方で打撃の瞬間まで、力が抜けたままの状態でボールや相手に衝撃を与えようとしても、力は自分の体の柔らかさに吸収されてしまって強い力を伝えるのが難しくなります。そのためこのインパクトの瞬間には、力のベクトル(ボールの飛ぶ方向、相手の体の急所の方向)以外に力が分散しないように一瞬の間にベクトル方向に筋肉を最大限に緊張させて力を収斂させていきます。インパクトのポイントではいわば全身のしなやかさを犠牲にしてでもベクトルのポイントに力を集めるために全身が硬くなって奉仕するのです。

 「うっ」とか「ふん」とか思わず声が出たり、意識的に「メーン」とか「おりゃー」とか声を出したり、スポーツによってやり方は違いますが、いわばスイッチをいれるように力を入れる瞬間がこのインパクトポイントです。


 
 重要なのは、このインパクトポイントというのはスポーツの場面でも一瞬でしかないということです。ここぞというポイントに力を集中させるためには、タメををつくってうまく力を抜いておかなければなりません。はじめから力が入ってしまっていたら、いざという瞬間に力が集まらないのです。スイッチを切っておかなければ、スイッチを入れることはできません。

 これが重要な一つめのポイントです。①



 ところが力を抜こうとしても抜けなくなってしまう時があります。野球ならば、胸元を掠めるような危険な球が来たりすると無意識に力が入って抜けなくなったりします。剣道なら、どう考えても勝てない強い相手と向かい合ってしまったりするとはじめからすくんで本来の力すらだせなくなったりします。こんなときに力を抜こうとするとますますダメになりがちです。

 うまく力が抜けている時は無意識がコントロールしているので全身が均等にリラックスして、しかも全身がそれぞれが最小限の力で仕事をしています。力を抜こうとすると、意識が向かったポイントのみが完全に力が抜けて、そのために意識が向かっていないどこかが犠牲になってがんばっています。



 つまり集中することが得意な意識は、インパクトポイントでスイッチを入れるのが得意なのですが、全身を均等にコントロールするのは不得意であり、拡散が得意な無意識は、身体全体をしなやかに連動させる動きは得意なのですが、一点に力集中させることができません。東洋思想では、前者を陰、後者を陽といいます。陰が陽を生み、陽が陰を生むと考えます。

  
 ただし私たちは意識としてしか存在できません。意識がなくなれば、それこそ意識不明の状態になってしまいます。したがってスポーツでは意識を使って無意識をコントロールしなければなりません。そう考えるととても難しいことのように思えてきますが、実際はみんな楽しくスポーツをしていることからわかるように、それほど難しいことではありません。

 スポーツではそれをフォームといいます。いいフォームはいいプレイを生みだします。いいフォームになったときには、無心になれて体が勝手にうごくようなプレイができたりします。つまりそれこそが意識を使って無意識をコントロールしている状態なわけです。

 これが重要な二つめのポイントです。②



 

 では話を実生活に戻します。


 まず実生活でどんなふうに腕を使うべきなのかを考えてみましょう。

 ポイント①でお話したように、インパクトポイントというのはスポーツの場面でもここぞという一瞬でしかありません。ですからスポーツを上手くやるためには、できるだけ力を抜いて身体全体がしなやかに連動した状態でい続けることが大事です。ほとんどの時間はいざという瞬間が来るまでためをつくって動いているわけです。

 実生活でも同じではないでしょうか?

 実生活でここぞという一瞬とは、物が落ちてきて腕で振り払う時とか、重いものをえいっと持ち上げるときなどですから、たいていの方の生活ではスポーツの場面よりも頻度が少ないですよね。

 つまり実生活では、ほとんど常にスポーツの時の「できるだけ力を抜いて身体全体がしなやかに連動した状態」でい続けることが大事なはずなのです。


 そのためにはポイント②でお話したように、いいフォームでいることが大切です。実生活では、これはいい姿勢とよばれます。

 ところがここで間違って思い込んでいる方が非常に多いのが、いい姿勢になるために意識的に力を入れてがんばっていなければならないという俗説です。軍隊のように命令が出るまで微動だにしてはならないという目的(それがここぞという瞬間~インパクトポイントなのですから)があるなら別ですが、バレリーナのようにいつでも動けるしなやかな姿勢(フォーム)でいるなら、いい姿勢をインパクトポイントにしてはいけません。


 さて、このいい姿勢についてお話を始めると、また大変な長文になってしまいます。これはまた別の機会にしますが、暁骨と尺骨の仕組みだけに注目しすぎると、うまくいかないかもしれません。大切なのは身体全体がしなやかに連動した状態なので、腕の力を抜こうと意識を強く集中すれば、意識の仕組みが身体全体のしなやかさを犠牲にし始めます。暁骨と尺骨の仕組みはいわばフォームのごく一部です。大切な一部であり、暁骨まわりの筋肉をあまりつかわない動きをこころがけることは大切ですが、こだわりはじめて、どう動かすかに集中すると力を入れていくことになってしまいます。整体では暁骨の位置の歪みを整えますが、うまくいけば力を抜いただけでいい位置に収まります。それを一般の方がご自身で正確にやるためには、歪みを矯正するとともに力を抜かなければならずそばに判っている人がいて指導してくれないとむずかしいと思います。肩こりや腕の疲れが激しい方にとって、もっと大切なのは身体全体の姿勢~フォームです。


あやさんのご質問にもどります。
「では毎日の親指の酷使を防ぐとしたら、小指を添える・肘から先を回外すれば疲労は取れるのでしょうか?」
小指を添えるのはいいと思います。肘から先は回外しないほうがよいでしょう。回外や回内は意識しないほうが無難です。回外や回内は指側、肘側をケースバイケースで使い分けます。ちょっと文字情報ではうまく伝える自信がありません。


「暁骨と尺骨の間が開いてしまっている場合はどんな使い方が適切ですか?宜しかったら教えて下さいm(_ _)m 」
どういう状態なのかこれだけではわかりませんが、おそらく暁骨に無意識に力が入ってしまって抜けなくなっているのではないかと思います。そうだとすれば、以下のポイントをチェックしてみてください。


 肩こりの人に非常に多い癖が肩の力を抜こうとする動作です。くりかえし肩をだらんとしようとしたり、肩甲骨を背中に寄せ集めておこうとしたりします。時には肩こり予防法などとして雑誌などに紹介されていたりする動作ですが・・・。肩の力を抜くために意識を集中すると、肩の力を抜くという力をどこかに入れることになります。つまり肩の力が抜けているという瞬間~インパクトポイントをつくるために意識を集中するので、その瞬間~インパクトポイントではとても気持がよくなります。しかし意識はその瞬間でい続けることはできません。実生活ではほかにもやることがたくさんありますよね。しかも犠牲になっているところ~暁骨まわり、背中、肩甲骨まわり、腰、首などがあとで痛みをだしてきたりします。肩をゆるませるために犠牲になって意識がむいていない場所は、そのときはなんともありませんが、痛みというサインをつかって、意識を自分に向かわせようとします。

 そもそも肩こり自体が、どこかを楽にするために犠牲になっているから起きている可能性が高いです。姿勢が悪いので体を肩や腕の力で支えていたりします。多いケースは立っている時はカカト重心で、座っているときはおしりの後ろ側で座っています。足のリラックス、股関節のリラックスのために腕が犠牲になっています。腕を前に伸ばしていないと立っていられません。腕を前に伸ばしていないと机に向かって座っていられません。足を投げ出していることがリラックスだと思っています。それは足のリラックスで、腰や腹筋、腕、首の犠牲を必要とします。

 うまく力が抜けている時は無意識がコントロールしているので全身が均等にリラックスして、しかも全身がそれぞれが最小限の力で仕事をしています。力が抜けきっているところを探して適度にしっかりさせて、全体が姿勢のいいフォームをめざしてください。ほとんどの方が足(とくにつま先の握力)と呼吸の筋肉が休みすぎています。(座っている時も足が大切です)最初から美しい姿勢になろうとしないことです。力ずくになってしまいます。インパクトポイントになってしまいます。一人でやるなら瞑想は役に立ちます。自分の身体を無心に見つめてください。フォームがある程度できたら、それ以上こだわらずに意識をフォームからはずします。生活に戻ってください。スポーツと同じです。フォームがくずれたらまた直せばいいのです。その繰り返しでよいのです。いい姿勢で固まろうとしないことです。コリコリになっちゃいます。インパクトポイントになってしまいます。

 適度では満足できない。さらにもっと美しい姿勢を手に入れたい。という方はやはりいい指導者をみつける必要があると思います。


ご参考になればと思います。

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橈骨と尺骨 [身体の使い方]

 今日は、ここまで大腸経の前腕部のお話でよくでてきた橈骨神経障害という症状をひきおこす橈骨について少しお話してみたいと思います。

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 橈骨とは図のように手の親指側とつながっている前腕部の骨です。ここに大腸経が通っています。そして小指側には尺骨という骨があります。

 さて、橈骨と尺骨それぞれの役割は、当然親指側、小指側の手を支えるという意味もありますが、前腕部を回転させるというもう一つの重要な役割をもっています。内側に回転させることを回内、外側に回転させることを回外といいます。

 試しに実際に前腕部を回内したり回外したりしてみてください。ぐーっと強く回外させると自然に上腕骨まで回転して(これは専門的にいえば外旋という用語で分類される動きです。)全身に力が入って身体は硬くなります。回内の方は上腕まで内旋させても少し身体が弛んでリラックスする傾向があるはずです。

 どうしてそうなるかというと、上腕と前腕の境目、つまり肘の関節を見るとよくわかります。


 実は橈骨という骨は上腕の骨の延長線上にはありません。少し外れた位置にあって、逆に上腕骨とつながっている尺骨の周りをくるくる回るようにできています。つまり回内や回外というのは尺骨の周りを橈骨が回ることでもあるわけです。
 こういう構造のおかげで、ただ尺骨+上腕骨だけが回転するより力強さを出せるようになっています。上腕の回転×前腕の回転で2倍以上の力をだせるのです。橈骨とは腕のパワーパーツのようなものといってもいいでしょう。

 回外~外旋すると親指側=橈骨側が外に開いて力が入りやすくなりますが、回内は小指=尺骨側に力を入れるとうまくいくため、力が抜けていきやすいのです。つまり力強さが存在理由でもある橈骨を使うことで、回外~外旋は硬くなり、回内は橈骨を使わない動きになりやすいからリラックスする傾向があるわけです。


 私は子供のころ少しだけ剣道をやったことがあるのですが、剣道で最初に教わったことのひとつは小指で竹刀を握って振るということでした。親指、人差し指などは、最後にえいっと打つ瞬間に雑巾を絞るように(これは回内から上腕の内旋を引き起こす動きです)使うのですが、それまでは力を入れてはいけないのでした。


 子供心に、何故力の出しにくい小指をわざわざ使うのだろうといつも疑問に思っていました。しかしこれは橈骨側の親指、人差し指を使うと、無駄な力が入って振りが悪くなるからだったのです。そして打つ瞬間に、橈骨側を使うことで力強い打撃にするのです。

 これは野球でもゴルフでも同じですよね。


 普段の生活でも同じようにすると、所作が武道家のようにしなやかになります。古武道の先生の本なんかにも小指=尺骨側をうまく使う話がよくでてきます。


 また、パソコン仕事が身体に悪いのは親指、人差し指、中指などの橈骨側ばかりを使うからとも言えます。小指を使ったキータッチをしたり、マウスに小指を添えたりすると大腸経の気の流れが整ってきて効果があるでしょう。



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つらい腰痛、がんこな肩こりでお悩みの方は都筑区仲町台の整体院、東洋整体術仲町台療術センターへお気軽にどうぞ。ギックリ腰や寝違え、ヒザや足腰の痛くて歩くのがツライ方もどうぞ。

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上腕二頭筋 [身体の使い方]

 久しぶりの更新になってしまいました。公私ともようやく年末年始モードが終わりましたので、ちゃんと更新していきたいと思っています。

 今年もよろしくお願いいたします。



 さて、上腕二頭筋のお話の続きです。

 運動学の教科書によると、上腕二頭筋の作用は、主に肘の関節の屈曲です。つまり肘を曲げる作用ですね。これは私たちの生活の中ではとても多い動きですよね。
 
 そして、私たちの脳は、関節や筋肉が動き始めた時、その変化をとらえて認識することができますが、そのあと同じ状態で変化しなければ、次第にその状態が通常の状態だと思い込んでしまいます。


ですから、この上腕の屈曲という動き、たとえば

 ・重いものを持ち上げる時。

 ・パソコンを打つためにキーボードに向かっているとき。

 ・絶え間ないストレスや緊張で腕や肩に力が入っているとき。

 ・布団の中で就寝中ずっと朝まで腕を屈曲させて寝ている。

 ・電話をかけているとき。

などなど、多くの方の日常の中で、この上腕を屈曲させ続けている状態があまりにも長時間に及んでいるのではないでしょうか?

 そういった方は多くの場合、いつのまにか上腕二頭筋が緊張状態にあることがあたりまえになってしまっているのです。

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季節感がずれていてすみません。






つらい腰痛、がんこな肩こりでお悩みの方は都筑区仲町台の整体院、東洋整体術仲町台療術センターへお気軽にどうぞ。ギックリ腰や寝違

え、ヒザや足腰の痛くて歩くのがツライ方もどうぞ。

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肺経、大腸経~呼吸と上腕二頭筋 [身体の使い方]

 秋も深まってきました。今日は雨ですが、あちこちで紅葉も美しく染まってきたことでしょう。スポーツの秋ともいいます。こんな季節に、ヒザや足腰の痛みで楽しめないなんてことのないようお身体を大切にしてくださいね。


 さて今回も引き続き大腸経のお話をしますが、今回はちょっと趣向を変えて、身体の使い方の視点から経絡をとらえてみましょう。


 まず大腸経のお話に行く前に、陰陽の裏表にある肺経のお話からはじめます。
 前回書きましたように東洋医学では、肺は収斂する力をもった臓器とされています。これを肺の仕事である呼吸運動で考えると、収斂ということはつまり「吸気ではなく呼気」の働きが肺そのものの持っている力だということになります。いい呼吸をするためには、まず息を出し切ることが大切だと言われているのはそのためではないでしょうか?(喘息が呼気の不全だったり、吸気の過剰が過呼吸だったりするのもその証明かもしれません)

 さてここで、皆さんが深呼吸するときのことを思い出してみてください。
 自然と腕をこんな風に動かすのではないでしょうか?このとき腕の筋肉の使い方のちょっとした相違によっていい呼気になるか、悪い呼気になるかが分かれてきます。

L7040115.JPG吸う
L7040114.JPG吐く

 それは上腕二頭筋という筋肉の使い方です。いわゆる力こぶをつくる筋肉ですが、解剖学的にはこの赤い線のように付いています。まさに肺経の流れるところですね。試しにここを緊張させながら(たとえば力こぶをボディービルダーのようにパンパンにした状態で)息を吐いてみてください。おわかりのように、これでは肺に息が残らないように吐くことができないのです。
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 こうしてみると、肺経の経絡が通っている上腕二頭筋の緊張が抜けない人は、いい呼気~呼吸ができず、肺経の気の流れも悪いということになります。


 次回はどんなときに上腕二頭筋の緊張が抜けなくなるのか?はたまたそれが大腸経にどんな影響をあたえるのかについてお話していきたいと思っています。


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バランス [身体の使い方]

  初めて自転車に乗れるようになったときのことを覚えていますか?補助輪をはずしてしまうと、不安定で怖くて、自転車に思わずしがみついて身体を硬くしていませんでしたか?ところが一度コツを覚えてしまうと、身体が宙に浮いたように軽やかになって、スピードもそれまでとは段違いに速くなります。

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 このことと前回書いた、山での身体の使い方の話はよく似ています。

 実は私たちの身体は、前後左右上下にうまくバランスをとることで働くようにできています。ですから最もバランスのとれた状態というのは、前でも後でも左でも右でも上でも下でもない、釣り合いがとれた真中にいる状態のことなのです。

 そこにいるからこそ、自転車が前後左右どちらに傾いてもすぐにバランスを取り戻すように身体を働かすことができるのです。



 ところが、真中でバランスがとれた状態というのは、例えて言えばヤジロベエがうまく釣り合っている状態を想像していただくと解るように、軽やかではあっても、とても不安定な状態なのです。自転車で言えば、補助輪という安定を捨てて、あえて不安定に身を置いた状態です。


 もういちど前回引用した文を振り返ってみましょう。

 「最初彼を岩にしがみつかせるものは意識されない動物的恐怖の噴出なのだが、しがみつくことによって足場は弱まり、本来ならつかめるはずの手掛りを見失ってしまう。」


 ストレス、恐怖、疲れ、怪我、内臓の不調、なんらかの原因から、人はしばしばこの釣り合いのとれた不安定な状態をやめてしまいます。体を硬くして筋肉を自転車の補助輪のように使って安定を求めようとします。あるいは、身体を不自然に傾けて、筋肉を硬く杖のように固めてそれに依りかかろうとします。


 これが、体のコリや痛みのはじまりになっていくのです。



 バランスボールが何故身体にいいのかも、同じ理由によるのです。不安定な状態で身体をバランスさせることを覚えることが、本来のあるべき身体の使い方にもどることだからなのです。 




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歩き方(その4) [身体の使い方]

 さて、これまでしっかり歩くためのポイントについていろいろお話してきましたが、今日は、しっかり歩こうとするあまりに陥りやすい間違いについてお話しましょう。

 それを知ると、身体がよりうまく使えるようになると思います。

 しっかり歩こうとか、大地を踏みしめようとすると、よくやってしまうのが身体全体を大地に押し付けようとすること。また、左右の足の使い方がアンバランスな方も、普段重心がのっていない方の足に体重をのせようとすると、そちら側の足の方に身体を傾けて、よりかかるようにして体重をかけてしまうことがあります。


 実はこういう体重のかけ方は逆効果でうまく足に体重がのらないだけでなく、骨格に歪みをつくりやすく、身体にもよくありません。しっかり大地を踏みしめて歩くためには、むしろ身体は上に伸びていく意識をもたなければなりません。

 やってみるとよく解りますが、ためしに身体を沈み込むようにして足に体重をかけるのと、身体を頭上に伸ばしていくようにしたときの足の感覚を比べてみてください。どちらがしっかりと大地を踏みしめているか。また、片足立ちして、身体を軸足の方に傾けて足に体重を伝えるのと、背骨はあくまで地面と直角に立てながら、頭上に身体か伸びていく意識をもって片足立ちするのと、どちらがより安定した重心を足に伝えられるかくらべてみてください。足の裏の圧感の違いを感じてみると判りやすいかもしれません。

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 このことは、歩く時だけに限らず、身体の使い方の大事な基本原則でもあるのですが、そのお話はまたいずれ。


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歩き方(その3) [身体の使い方]

 先日、テレビでミスユニヴァースの日本代表を育てる番組を見ました。ミスユニヴァースのような世界的なコンテストでは、見た目の美しさだけではなく、表現力や内面の輝きが高いレヴェルで充実していないと戦えないのですね。

 私にとって面白かったのは、歩き方のレッスンです。行きはイヴニングドレスを着て華麗に優雅に歩くスタイルで、ターンしたら今度は水着でハツラツと歩いているように見せなさいという課題でした。

 最終選考に残った12人の女性の中の一人が先生からチェックされていました。あなたの歩き方は行きもターンしてからも、まるで同じでショッピングをしている人の歩き方だと・・・。厳しいですねえ。

 つま先から頭のてっぺんまで美しく見せるための意識を持って、TPOに合わせて身体を思いのままに操らないとできない課題ですね。

コンテストには出れなくてもいいんですが(^_^;)、そんな風に自分の身体を自由に操れたら素敵ですね。



 さて今日も歩き方の続きのお話です。ここでお話するのは、そのような難しい歩き方ではありません。健康増進のためのあたりまえの基本的な歩き方です。(あたりまえのことがしっかりできていれば、身体の不調の多くは出にくいはずなのです。そのように人間の身体はつくられています。)



 まず前回までを、要約しておさらいしましょう。


 1.左右の足の使い方のバランスが崩れないように気をつけて

 2.足の小指側でなく、親指側でしっかり大地をとらえて蹴りだすように歩きましょう。そのためには足の内転筋をしっかりつかいましょ

うということでした。


 今日は足の付け根についてお話しましょう。

 健康増進のためのウォーキングをするなら、歩くときの足の機能をちゃんと使わないと効果が薄れてしまいます。小股でチョコチョコ歩くのではなく、少し大股で足をしっかり振って一日に続けて20~30分程度歩くことが人間の身体には本来必要なのです。

 では、足を振るときの運動の支点はどこにあると思いますか?

 そう。股関節ですね。
 でも実はそれだけではないのです。足をしっかり振ってあるくときには、仙腸関節や腰椎も動いています。仙腸関節とは、背骨の下にあるホームベース型の仙骨という骨と骨盤の間でできている関節です。しっかり歩けば、それらのすべての関節が必要なだけ使われることになります。腰痛になりやすい人は、左右でどちらかが股関節しか動いていないとか、股関節の可動が悪いのを仙腸関節が補っているなどのバランスの崩れをおこしていることが多いのです。

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 でも、ここで言いたかったのはそれだけではありません。


 実はある意味では、人間の骨格とは、関節に歯車やモーターがついたロボットのように関節部分に運動の支点があるわけではありません。

身体の80%が水分でできている人間は、ロボットのように、部品と部品の間の接合部(関節)が、がっちり組まれて積み上げられたような構造になっているのではなく、いわば筋肉の海の中に骨が浮いているとでもいうべき構造をしています。

 ですから、歩くときの足の運動の支点を考えるには、骨格を動かしている筋肉=大腰筋を重要視しなければならないのです。その筋肉は図のようにお腹のあたりにあります。

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片足立ちして足を振ってみるとよく解ると思いますが、実は足はお腹のあたりにある大腰筋を使わなければ大きく振れません。大きく振るとその円運動の中心=支点はお腹のあたりにあることが解るはずです。

 そして腰痛になる方の多くはこの大腰筋が縮んで硬くなっているのです。
腰痛予防のためにも、大腰筋をしっかり使って歩いてみてください。



今日のポイントをまとめておきます。足をしっかり振って、少し大股に歩きましょう。そのためには、お腹のあたりに足の運動の支点があることを意識して、大腰筋を使って足を振り出しましょう。しっかり歩くと股関節だけでなく、腰椎や仙腸関節までもが可動します。それらの関節を左右バランスよく使って歩きましょう。




ウォーキングのお話は、もう少し続けたいと思っていますが、今日はこのへんで。




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歩き方(その2) [身体の使い方]

 4/29は家族で東京タワーに行ってきました。また、ぐずぐずしている間に一週間たっちゃいそうな古い話題で恐縮ですが・・・(^_^;)。

 展望台まで階段で登れるとあったので、子供の希望もあって階段で登ってみました。
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他にもけっこう、階段で登っている家族連れが多かったです。意外と楽に登れるものですね。中にはへばっているお父さんもいましたが。脚力が有るだけに、力んで登ろうとしてしまうからかもしれませんね。階段を楽に登る方法は、以前にも書きましたが、(→過去記事)そのうちもう少し詳しくお話しましょう。


 今日は前回の続きの歩き方です。


 まず腰痛などの不調に悩んでいる方の多くは、主に足の外側を使って歩いていることが非常に多いです。靴のすり減り方を見ると外側の方がよりすり減っていることでしょう。

asi2.gif楕円形の部分が外側です。円形の内側を使うのがいい歩き方です。
 
 この歩き方だと、大腿部の外側が疲れやすく、また張って硬くなりやすいです。O脚につながる場合もあり、骨盤も外側に開きやすくなります。骨盤が開くと内臓が支えを失って、下垂してくるので、腰痛の原因にもなります。


 こうならないためにも、足の内側(親指側)で地面をしっかりとらえて蹴りだすように歩いてみましょう。大腿部の内側にある内転筋をしっかり使うとよりいいでしょう。

asi.jpg外側重心の歩き方では矢印の方向に力が働きます。楕円形で囲まれたあたりに内転筋があります。

asi3.gif内転筋を矢印の方向に引き締めると、足の内側(親指重心)をとりやすいです。

 すみません。今日はこのへんで。続きはまた次回。



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歩き方その1 [身体の使い方]

 さて、約束通り今日は歩き方についてお話しましょう。


 近年、ウォーキングということばが、あちこちで聞かれるようになりましたがここ仲町台には、綺麗で歩きやすくて大きな公園が街中にたくさんあって、しかもそれらが遊歩道でつながっているので、多くの方が歩いていらっしゃいます。


 このところは、ちょっと雨がちではありますが、暖かくて歩くのが気持ちいい季節になりましたね。

 せっかくの心楽しいお散歩ですから、「歩き方」なんて気にせず、花壇や木々に咲く花々を愛でながら、また池の鯉の美しさ、鳥の声のかわいらしさなどを味わいながら歩くのがいちばんですね。


 でも考え方を変えてみれば、それもまた「歩き方」のひとつです。


 あなたはなぜ歩くのか?なぜ歩きたいと思っているのか?その時その時によって理由があるはずです。あたりまえのことですが、その理由に一番最適な歩き方をするのが理にかなっていますよね。



 ここでお話したいのは、腰痛や肩こりなどの原因となる運動不足などを歩くことで無理なく自然に解消させたい人のための「歩き方」のお話です。決して、歩くときは必ずこの歩き方でなければならないなんてことはありませんし、他にも、別の意味で身体にいい歩き方がいろいろあります。そのお話もまた別の機会にさせていただこうと思っています。



 腰痛や肩こりになってしまいやすい人はたいてい、骨格に歪みがあります。どうして歪むのかを、簡単にいえば身体のどこかが縮こまっているからです。そしてそういう人は歩くときに、その縮こまっている部分をあまり使っていないか、使いすぎているようです。

 まず、足の使い方を左右対称にするように心掛けてみましょう。身体の重心をいつも片足によけいにかけている人は、歩くときに足を左右均等に使えていません。

 自分自身をチェックする方法としては、たとえば

 左右の足音、靴音の違いをくらべてみると、重心のかかっている足の足音がすこし高い音になります。ゲゲゲの鬼太郎は「カランコロンカランコロン」と下駄の音をさせて歩くと歌にありますが、彼はカランという音の鳴る方の足に体重をかけているので、ちょっと骨格にも歪みがありそうです。

 あるいは、腕の振り方の違いにも現れます。使っている方の足の側の腕はよく振れていますが、重心のかかっていないほうの足の側の腕はあまり動かないかもしれません。

 また、靴底のすり減り方を見るという手もあります。


 使っていない方の足を見つけたら、今度は、両足が均等に使えるように心掛けてみましょう。具体的な方法はまた次回にお話しましょう。

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