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「密息」で身体が変わる [ココロに響いた本]

 もう30年ほど前の話になりますが、フルートという楽器を吹いていました。


 あまり大きな音が出ないわりに、意外と息の量が必要な楽器だったので、息継ぎや呼吸法についてはけっこう関心をもっていました。しかしあまりうまくいかないまま、いつのころからか楽器をもつことも少なくなってしまいました。


 その後、整体の勉強をすることになりましたが、ここでまた呼吸法を勉強することになりました。ヨガでも太極拳でも、健康法を語るときに呼吸法は欠かせません。自分でも様々な呼吸法の本を読みました。



 今日はその中でも、とても影響を受けた本についてご紹介しましょう。

「密息」で身体が変わる (新潮選書)

「密息」で身体が変わる (新潮選書)

  • 作者: 中村 明一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/05/24
  • メディア: 単行本





 著者は、日本の楽器~尺八の奏者で、口伝の要素が多いこの楽器の奏法を多数の師について学んだだけでなく、アメリカの名門バークリー音楽大学などでも学んだ人です。

 尺八という楽器も、フルート同様エアリード楽器に分類される、息をとても多く必要とする楽器です。

 そのため理想の呼吸法を求めて洋邦問わず、様々な呼吸法を自らのものにしたそうです。プロとして楽器を吹くレヴェルにまで呼吸法を習得するのは簡単ではありませんが、腹式呼吸、逆腹式呼吸、胸式呼吸から、息継ぎをまったくしないでも永遠に楽器に息を吹き込み続けることができる循環呼吸まで、その知識とスキルはとても広く深いところまで及んでいます。

 

 この著書では、主に尺八奏法に古くから伝わる伝説的呼吸法である「密息」について語られています。


 著者によってわかりやすく明解に伝えられるこの呼吸法の奥義は、私も今までどこでも読んだことが無いものでした。
 実はこの呼吸法は、私たち日本人の身体には古来なじみの深い呼吸法であり、日本の気候風土にも非常に適したものだったのです。


 さらにこの本の面白いところは、「密息」の理解から導かれる比較文化論がとても理にかなったもので、読んでいると日頃疑問に思っていた様々なことが、腑に落ちる思いがすることでした。



 整体と非常に関係が深い部分では、いい姿勢というものが、西洋と日本では違っている理由とそれぞれの特徴について、とても理解を深めることができました。~わかりやすい例でいえば、腰高な外国人力士と、重心が低い日本人力士の違いなどを思い浮かべてみてください。


 私たちは一口に「いい姿勢」といいますが、それは自分がどんな生活スタイルを指向するかによって、根本的に変わってくるものだったのです。


 音楽や身体のこと、そして日本文化について理解を深めたい方、には、ぜひオススメの一冊です。



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