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気戸穴(きこけつ) [東洋医学]

 急に涼しく秋らしくなってきましたね。ブラックボードにもこんな絵を描いてみました。


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 さて今日も、ツボ~経穴、経絡のお話をしましょう。


 前回は缺盆穴でしたので、今日は気戸穴(きこけつ)です。
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 名前の由来は、文字通り、気の戸、つまり気の門戸とか扉といった意味になります。気とは何かというと、テーマが壮大すぎて気軽には説明しにくいですが、元気とかエネルギーといったイメージでここでは、あえて大まかにとらえておきましょう。
 ただこの経穴の場所が肺の上部にありますので、呼吸によって体内に取り入れられる「気」~天の気、大気中のエネルギーといった意味合いも強いように思います。
 実際この経穴は呼吸器系の症状に対応しています。


 また、このツボは喘息にも効き目があります。実は私自身、幼い頃は小児喘息で非常に苦しい思いをしていました。その経験からしても、この経穴が効き目があるということが体感としてよく解ります。


 ヒトは通常(運動等で大量に酸素を必要とする時以外)は無意識に、自律神経の作用で横隔膜を主に使った呼吸をしています。


 吸気では横隔膜の筋肉が内臓を押し下げて息を肺に呼び込みます。
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 無意識に必要なだけ膨らんだ肺は、横隔膜の筋肉が脱力すると今度は内臓に自然に押し返されます。すると息は受動的に少しずつ出て行きます。息を吐くということは力が抜けて自然発生する現象なのです。ですから皆さん息を吐いてリラックスしようとするわけです。
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 ところが喘息になると、呼気、つまり息を吐くことがうまくできません。何故なのでしょう。私は医師ではないので喘息一般について語る資格はありませんが、自分の場合はどうだったかについてお話してみましょう。


 大元の原因はわかりませんが、幼い頃川崎の工業地帯のすぐそばに住んでいた私は、その地域の子どもに多く発生していた喘息にかかってしまいました。その地帯の子どもすべてがなっていたわけでは無いはずなので、素因が私自身にあったのかもしれません。


 私は子どものころからいわゆる鳩胸体形でした。喘息のせいでなったのか、鳩胸のせいで喘息になったのかは不明です。
 ともかく鳩胸だったことで呼吸のメカニズムが作動しにくくなっていたことは確かです。つまり、鳩胸ということは、前回や前々回にお話した胸が開いている体形だったということです。
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 この体形では横隔膜を押し上げる力は、肋骨を伝って背骨に集まってしまいます。
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したがって自然な呼気が発生しにくくなっていまうのです。したがって、運動をしているわけでは無いのに胸の筋肉で肺を縮めて息を吐き、胸の筋肉で肺を広げて息を吐かねばならず、無理な力みを常に呼吸器に強いています。そのせいで炎症も発生しやすくなり、呼吸が苦しくなり、より力をいれて呼吸せねばならず、悪循環にはまっていってしまったのです。


 そこでこの気戸穴です。開いてしまった胸の扉を締めて、内臓の押し返す力の流れを肺に呼び戻し、閉じてしまった気道の流れの門戸を逆に開くために重要な位置に、この経穴があるのです。


 喘息の場合だけではありません。鳩胸でなくても普段から肩こりや頭痛、腰痛のある方は、骨盤や胸郭が開いてしまっているので呼吸がしにくいと訴えて、整体にこられるケースも少なくありません。姿勢を良くするということは、背骨や肋骨周りの筋肉で頑張ることだと思い込んでいる方、リラックスするということは、背骨によりかかっていること、あるいは背骨にぶら下がって猫背になることだと思い込んでいる方は、この呼吸の自然な無意識な力で美しく自然に胸を張り、リラックスできることを忘れてしまっているのです。くわしくは、前々回の記事「力を抜く方法(その3)をご覧ください。


 思い当たる方がおられましたら、ぜひ一度ご来院ください。




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缺盆穴(けつぼんけつ) [東洋医学]

 今日は久しぶりに、ツボ~経穴、経絡のお話をしましょう。

 肺経、大腸経ときて、胃経の気舎穴で終わっていましたから、今日は 缺盆穴(けつぼんけつ)です。
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 名前の由来は欠けた茶碗という意味で、鎖骨の形がそのように見えることから来ているようです。


 この経穴は、咽喉や肩腕の様々な症状に効き目があります。

 前回の力の抜き方のところで書きましたが、体は胸郭のところで開かずにしっかり締まっていることが重要ですが、開いてしまった体の場合、この缺盆穴のあたりに腕や胸郭をぶら下げているような状態になってしまいます。
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 胃腸の筋肉がインナーマッスルとして食道から肛門までをつなげて自然な流れを作って、この経絡に、あたかも流れがあるような状態が作られるのが胃経のパワーです。
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しかし力んでしまったり、自律神経のパワーを何かのきっかけで失ってしまい、アウターマッスル~意識にかたよったリラックスをするようになると、この流れがこの缺盆穴のあたりで途切れて、様々な咽喉や肩腕の不調を引き起こすようになってしまうのです。

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気舎(きしゃ)穴 [東洋医学]

 今日は、経穴~ツボのお話です。


 前回が水突穴でしたので、今回は気舎(きしゃ)穴です。
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 名前の由来は、「気が留まるところ」「気の在りか」という意味から来ているようです。


 実際に解剖図をみると、ここは、頸部の重要な筋肉~胸鎖乳突筋が付着している部位であり、鎖骨、肋骨、胸骨が集まっている場所であり、腕の動脈、静脈、首の動脈、静脈が合流する地点であり、さらに全身のリンパがここで静脈に注ぎ込むという、様々な意味で重要な場所であります。


 ただ、この経穴は、これまでご紹介したいくつかの効き目の大きい特定穴には分類されてはいません。重要ではあっても経穴自体は大きなパワーをもってはいないため、気舎=「気の在りか」という表現になっているのだと思います。


 つまり、気舎がパワーをだして気を集めているのではなく、気血がそれぞれのパワーバランスのなかでここに集結点をつくっているということになるのでしょう。


 実際ここにパワーを集めてしまうと、逆に流れが悪くなっていい状態にはなりません。というわけで、整体の臨床でも、ここのパワーを強めてしまって流れが悪くなっているケースに対して、流れをとりもどすように導いていきます。



 ちょうど、今のように寒さが厳しくなったりすると、このあたりと腋に力を入れてしまいやすくなるので、流れが悪くなることがあります。また、年末年始に胃腸が疲れてしまった方が、胃経の気の流れを悪くして、気舎の流れも悪くしているケースが多くなっています。最近、寝違えや首痛、背中の痛みなどを訴える方が多くなっていますが、まさにこの気舎にも整体のポイントがあるのです。その他に、気管支や食道の症状などにも効き目があります。



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水突穴 [東洋医学]

 ひさしぶりに経穴のお話をしようと思います。


 今日は水突穴です。

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 名前の由来は、この経穴が甲状軟骨の下にある輪状軟骨のあたりにあって、水をのみ込む時に突き出るように動くためです。


 効果が期待できる症状は、前回の人迎と共通する部分が多いですが、咽喉部の機能改善や甲状腺の症状の回復、そして整体院では首コリや肩コリによく効くポイントとしても重要です。


 よく水をのみ込む時に肩が上がるような力が入りますが、この水突穴の奥には肩甲舌骨筋という、なんと咽喉と肩甲骨をつなぐ筋肉が通っています。肩が埋まってしまうようないわゆる「いかり肩」の人はここの力が抜けなくなっていることがあります。
 また、あごが突き出てしまうと姿勢が悪く見えるので、軍隊式に顎を力ずくで引く癖があるひともこのあたりが硬くなっているかもしれません。肩も首もこりやすくなりますし頭痛の原因にもなります。
 ちなみに顎は確かに突き出ていてはいい状態ではありませんが、だからといって引いてしまうと顎が首に埋もれて顎無しの人のようになってしまいます。絶対に女優さんのような顎のラインの美しいシルエットにはなりませんし、健康にもよくありません。
 説明するのがむずかしいのでここでは触れませんが、顎をひかないでも、突き出た顎をひっこめることはできますし、そうすべきなのです。


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人迎穴(その2) [東洋医学]

 ところで人迎穴の目印としてお話した、のどぼとけとは何でできているのかというと、そこには甲状軟骨という軟骨組織があります。甲状軟骨には声帯があり、その内部は気道であるとともに発声器官でもあります。またその周囲には甲状腺という重要な内分泌腺も位置しています。


 また、前回お話した胸鎖乳突筋の内側には胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋などの舌骨下筋という筋肉群があり、舌骨上筋群を通して下顎とつながっています。これらの舌骨下筋、舌骨上筋は普段様々な方の首を調整していると、咀嚼筋と連動していることも関係していると思いますが、経絡上の仕組みの関係もあって非常に左右のバランスが悪くなりやすいように感じています。そのため体のねじれを調整する重要なポイントでもあると思っています。


 つまり、人迎穴とは、頸動脈や、気道であり発声器官でもある軟骨組織、内分泌腺、細かい筋群が存在していて、デリケートでありながら、非常に重要な経穴でもあるわけです。ただ押したり揉んだり力技の技術では全く効果をだせないだけに、腕の見せ所でもあるのです。





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人迎穴 [東洋医学]

 9月になりました。

 なかなかブログを更新できないまま、いつのまにか8月が終わってしまいました。



 気を取り直して、久しぶりに今日は経穴~ツボのお話を書きたいと思います。



 今回は「人迎穴」です。

 この経穴は、のど仏を横にたどって胸鎖乳突筋という首を斜めに走る太い筋肉にぶつかった場所にあります。
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 名前の由来は、前に大迎穴のところで出てきましたように、迎の字は東洋医学独特の診断法の脈診(血管の拍動によって人体の状態を診る方法)をするポイントであることを指しています。人迎穴は、頸動脈の拍動部にあるのです。
 人の字は、脈診のポイントをさらに詳しく天人地(上中下)の三つに分けてとらえた時の表現方法です。


 整体では胸鎖乳突筋をほぐす技法などがありますが、私個人としては痛みが強いので直接ほぐすことは現在していません。人迎穴は、胃経や大腸経、胆経とつながっているので、それらの経絡全体や重要な経穴に気を流しながら自然とほぐれていくようにもっていきます。効果としては、首や肩のコリ、痛みによく効きます。また結果的に、血行やリンパの流れ、を改善させることにもつながります。同様に咽喉部の機能改善や甲状腺の症状の回復をねらう時にも用います。首も長くなるので美容にもよいと思いますよ。



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頭維(ずい)穴 [東洋医学]

 今日は久しぶりに、経穴~ツボのお話を更新したいと思います。



 順番からすると、今日は頭維になります。

 維という漢字は、角(つの)を意味しています。

 人間には角はありませんが、動物の角が生えるような額の部分にある経穴であることを指しているのです。
  

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 この経穴は、前頭骨と頭頂骨という頭蓋骨の2枚の骨が出会う場所にあります。専門用語では冠状縫合といって、よくマンガなどで描かれる頭蓋骨にはギザギザなひびが入っていますが、そんなギザギザした接合部でできています。

 このような頭蓋骨の接合部は動けるようになっていて、その可動性は脳脊髄液の新陳代謝にとって必要不可欠なのです。

 ところがこの接合部には「下関(げかん)穴」のところでお話した側頭筋という強力な咀嚼筋が跨ってついているために、普段から顎の力が抜けない人~ストレスなどで歯ぎしりをよくする方や、肩や肘が力んで力が抜けない方など~は、この接合部の可動性を失い、まるでロックがかかったようにガチガチに動かなくなってしまうことがあります。

 これが頭痛の原因になっていることがよくあります。また、歯ぎしりは胃とつながっている口の症状であり、腕の力みは、胃経とつながっている大腸経の硬さでもあるので、この状態になりやすい人は、胃経を通して消化器系の不調や胃腸のハリを起こしやすい人であるとも言えます。というわけで頭維は頭痛のツボとしてもしられています。


 

 もうひとつ、この経穴は目の症状にも有効とされています。めまいや疲れ目などの時に思わず手をやる場所であることは、そのあらわれなのでしょう。以前お話した胃経の承泣(しょうきゅう)穴も目の症状に有効ですが、私の感覚では、眼球を動かす筋肉のうち、承泣(しょうきゅう)穴が下直筋と、そしてこの頭維穴が下斜筋とつながっているのではないかと思います。実際にこれらの筋肉の調整は胃経を通して行うとうまくいくように感じています。


 

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下関(げかん)穴 [東洋医学]

今日はツボのお話です。

 頬車(きょうしゃ)穴から上に上がって、耳の穴の前で、頬骨が弓状に湾曲している曲線の中央の真下に下関(げかん)穴があります。
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 下顎骨の関節ジョイント部は、口を閉じた状態では耳の穴のすぐ前にありますが、口を大きく開けたときには、前方の下関穴の近くに移動してきます。下関穴という名前の由来は、ここが下顎骨の関節部の可動にとって重要なポイントであることからきていると思われます。
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 さて、この関節ジョイント部の移動がうまくいかずに、関節ジョイント部が前方でなく上方へ頬骨の出っ張りをガクッと乗り越えてしまうと、痛みをともなって、口の開閉に障害がでてしまう場合があります。ちょうど下関穴のあたりにある、側頭筋という筋肉は、咀嚼筋のひとつで大きな力をもっているため、ここが過緊張をおこすと、このような現象の原因となります。この筋肉をゆるめるために下関穴のポイントは有効に作用します。
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 さらにその奥には、外側翼突筋という咀嚼筋があり鼻腔を形成している蝶形骨という骨の下部と耳の穴の前部が口蓋の上、鼻腔内部でつながっています。この筋肉が関節ジョイント部を前方に移動させます。
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 図のように頭を動かさずに下顎だけを下に開けば、この動きになるのですが、口を開けるために顎でなく、頭を上に開いて動かそうとすると側頭筋で口を開けることになるわけです。
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 しかし今度は逆に外側翼突筋が過緊張をおこせば、今度は鼻腔や耳に不要な力がかかってしまいます。

 というわけで、この下関穴は、下顎骨の関節部の可動にとって重要なポイントであるとともに、下顎関節障害、耳、鼻の諸症状、頭痛などにも有効な経穴になるのです。


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頬車(きょうしゃ)穴 [東洋医学]

 経穴のお話に戻ります。


 今日は頬車(きょうしゃ)穴です。
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 名前の由来は、古代の中国では下顎骨のことを頬車骨と呼んでいたことからくるようです。


 前回の大迎穴は、咬筋という噛んだり、歯を食いしばったりするときに使う筋肉の前縁にありましたが、この経穴は、その後縁にあります。そのためやはり咬筋をゆるめることで、首や肩のこり、顎関節の痛み、頭痛、胃腸の諸症状などに効果をだせます。






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大迎(だいげい)穴 [東洋医学]

今回もツボのお話です。


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 今日は大迎(だいげい)穴です。

迎の字は大腸経の迎香穴で使われていました。
この場合は、鼻が香りを迎える~嗅覚のことを意味しています。


 大迎穴のあたりには感覚器官はありませんが、ここは頸動脈の大きな拍動を感じられる位置にあたります。また、東洋医学では脈診といって、動脈の拍動から診断をすることが重視されています。つまり、ここが大きな拍動を診る~迎えるポイントであるため、大迎穴と名付けられたとするのが、命名の由来のようです。


 この経穴は、ちょうど咬筋という噛んだり、歯を食いしばったりするときに使う筋肉の前縁にあたります。整体では、この咬筋の過緊張が、首や肩のこり、顎関節の痛みなどに関係するため、大迎穴のあたりをゆるめるように調整します。強く押すのではなく、ゆるめるポイントとしてやさしく触れていきます。
 また、前回の地倉同様、ここがゆるむと笑顔になり、胃腸にもいい効果があります。また、咬筋はこめかみとつながっているので、頭痛にも効き目があります。



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